障害のある方の生活を支える仕事に興味があっても、「行動援護」「同行援護」「重度訪問介護」など、資格の種類が多くてどれから始めればいいか分からない、という方は多いと思います。この記事では、それぞれの資格の違いと、未経験からでも始めやすい資格はどれかを整理します。
障害者介護の資格には何があるか|対象となる障害で資格が変わる
障害者介護の資格は、支援する対象となる障害の種類(身体・知的・精神・視覚等)によって、複数の種類に分かれています。まずは全体像を整理します。
- 重度訪問介護従業者養成研修
- 重度の肢体不自由等がある方の自宅での介護(身体介護・家事援助・外出時の移動支援)を担う資格
- 行動援護従業者養成研修
- 知的障害・精神障害があり、行動上の著しい困難がある方の外出等を支援する資格
- 同行援護従業者養成研修
- 視覚障害により移動が困難な方の外出時の同行・視覚情報の支援を担う資格
行動援護・同行援護(ガイドヘルパー)は、未経験からすぐは難しい資格
「ガイドヘルパー」は、外出支援を行う資格の総称として使われ、行動援護・同行援護はその代表的な資格です。ただし、これから障害者介護の仕事を始めたい方が見落としがちな注意点があります。
行動援護(知的・精神障害向け)
行動援護は、知的障害・精神障害があり、自分ひとりで行動することが著しく困難で、常に介護を必要とする方を対象とした障害福祉サービスです。
同行援護(視覚障害向け)
同行援護は、視覚障害により移動が著しく困難な方を対象に、外出時の同行や視覚的情報の支援を行うサービスです。
研修修了だけでは働けない|実務経験1年以上という壁
行動援護従業者・同行援護従業者として実際に働くには、研修修了に加えて、知的障害・精神障害(または視覚障害)のある方の支援に直接従事した実務経験が1年以上必要とされています。研修自体は未経験でも受講できますが、修了しただけでは、すぐにその仕事に就けるわけではないという点に注意してください。
重度訪問介護従業者養成研修とは|実務未経験でも取得できる資格
一方、重度訪問介護従業者養成研修には、行動援護・同行援護のような実務経験要件がありません。未経験からでも、研修を修了すればすぐに現場に入れるという点が、大きな違いです。
基本課程・追加課程・統合課程の違い
重度訪問介護従業者養成研修には、「基本課程」「追加課程」と、その上位にあたる「統合課程」があります。統合課程を修了すると、研修後に看護師等の指導のもとで実地研修を行った上で、特定の利用者に限り、痰の吸引や経管栄養といった医療的ケアも行えるようになるとされています。
対象は「最重度」だけではない|障害支援区分4以上
重度訪問介護は、障害支援区分4以上の方が対象です。厚生労働省の調査(令和5年4月実績、全国12,458人)によれば、区分6が84.9%と多数を占めますが、区分5が12.2%、区分4も2.9%おり、「最重度層だけの、ごく狭い市場」ではなく、区分4以上の常時介護を要する方全体が対象になっています。
重度訪問介護の資格1つで、移動支援にも従事できる(大阪市の場合)
ここが、この資格を最初の一歩としておすすめする一番の理由です。大阪市の移動支援事業(自治体独自のガイドヘルパー制度)の要件を確認したところ、重度訪問介護従業者養成研修の追加課程修了者は、「全身性障がい者」区分の移動支援に正式に従事できると定められています。
- 従事できる(○)
- 全身性障がい者(肢体不自由等、身体障害の中でも全身に及ぶ障害がある方)
- 従事できない(×)
- 盲ろう者、知的障がい者、精神障がい者の移動支援
つまり、重度訪問介護従業者養成研修(追加課程まで)を取得すれば、①重度訪問介護の仕事、②(大阪市であれば)全身性障がい者向けの移動支援の仕事、この2つに対応できる可能性があるということです。これは大阪市が公開している要件であり、他の自治体では基準が異なる場合があります。お住まい・勤務予定のエリアの自治体に、必ず個別にご確認ください。
結局どの資格から始めるべきか
これから障害者介護の仕事を始めたい方には、次のような順序をおすすめします。
- 未経験の方
- まず重度訪問介護従業者養成研修(基本課程+追加課程)を取得し、現場で実務経験を積む
- 知的・精神・視覚障害の支援に進みたい方
- 実務経験を1年以上積んだ上で、行動援護・同行援護従業者養成研修へのステップアップを検討する
重度訪問介護従業者養成研修統合課程のご案内
重度訪問介護従業者養成研修統合課程は、全国複数校(中野坂上・横浜・千葉・さいたま・宇都宮・前橋・牛久・甲府・新潟・上越・尼崎)で開催されており、振替が無料な点も特徴です。
※講座の詳細・最新の受講料・開催日程は、必ず公式サイトでご確認ください。
まとめ
行動援護・同行援護は実務経験1年以上が必要なため、未経験からの最初の一歩には向きません。重度訪問介護従業者養成研修は実務経験不要で取得でき、大阪市であれば全身性障がい者の移動支援にも従事できるため、障害者介護の仕事を始める入り口として、まず検討する価値のある資格です。
- 執筆者
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神野司(かみの つかさ)
大阪で訪問介護事業所を13年間経営。2018〜2022年は東京の高齢者デイサービス代表も兼任し、大阪・東京両方で採用面接を50例以上経験。
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