大阪市内と府下、同じ「大阪」でもここまで違う
「大阪で介護職の転職を考えている」と一口に言っても、大阪市内で探すか、府下(郊外)で探すかによって、給与水準も、求人の集中度も、実は少なからず違いがあります。以前の記事では、移動支援の資格要件など大阪特有の制度面を取り上げましたが、今回は「大阪市内と府下でどう違うのか」という、より地域に踏み込んだ内容を整理します。
給与水準:東京ほどではないが、確かにある差
まず、大阪と東京の給与差から見てみましょう。求人情報サイトの掲載求人をもとにした集計によると、介護士の平均年収は、東京都が約381万円、大阪府が約337万円で、その差は約44万円(約12%)です。
大阪市内と府下:施設の集中と給与のわずかな差
では、同じ大阪府内での市内・府下の違いはどうでしょうか。介護職の求人動向を調べた業界データによると、大阪市内は介護施設の数が圧倒的に多く、給料も府下と比べて若干高めの傾向にあるとされています。施設の集中度は、大阪市に次いで堺市、北摂エリア(豊中市・吹田市)、そして寝屋川市・枚方市・東大阪市といった順に高いようです。
実は制度上の裏付けもある、市内・府下の報酬差
この給与差には、単なる需給バランスだけでなく、制度的な根拠もあります。介護報酬には、人件費の地域差を反映する「地域区分」という仕組みがあり、大阪市は2級地、堺市・枚方市・茨木市等は5級地、豊中市・吹田市等は3級地、郊外の市町村は6〜7級地と、地域によって基本報酬の単価そのものが段階的に設定されています。つまり、同じサービス内容でも、大阪市内の事業所の方が、府下郊外の事業所より基本単価が高く設定されているのです。
訪問介護は、施設介護よりさらに深刻な人手不足
大阪府全体の有効求人倍率(2026年7月時点、大阪労働局)を見ると、興味深い違いがあります。
- 訪問介護の職業:有効求人倍率 14.92倍
- 施設介護の職業:有効求人倍率 3.26倍
訪問介護は、施設介護と比べて約4.6倍もの開きで、人手不足が深刻です。裏を返せば、訪問介護の資格・経験がある方にとっては、施設介護に比べて採用のハードルが低い可能性が高い、ということでもあります。ご自身の資格や経験を活かせる働き方を考える際の、一つの判断材料にしていただければと思います。
移動支援サービスの単価も、市町村ごとに異なる
以前の記事では、移動支援サービスに必要な資格要件を取り上げましたが、今回は制度面のもう一つの側面である「単価」についてです。移動支援事業は、国が一律に単価を定める制度ではなく、市町村が独自に単価を設定する地域生活支援事業です。そのため、大阪府下でも、大阪市とその他の市では、制度や単価が大きく異なります。
複数の市町村にまたがってサービスを提供している事業所で働く場合、この単価差が実務にどう影響するか、面接の際に確認してみてもよいかもしれません。
大阪市の交通機関無料乗車証・介護タクシー給付券
大阪市内で働く場合に知っておくと役立つ制度として、大阪市独自の福祉制度があります。
- 障がいの等級に応じて、大阪市内の地下鉄・ニュートラム・シティバスが無料または割引になる「福祉乗車証」
- 重度障がい者等を対象に、タクシー利用時に1乗車あたり500円が助成される「重度障がい者等タクシー給付券」
こうした制度は、利用者の外出支援に関わる場面で知識として役立つことがあります。大阪市内での勤務を検討している方は、頭の片隅に入れておくとよいでしょう。
大阪で介護職の転職を考えている人が知っておきたいこと
carejoblink.com
まとめ
大阪市内と府下では、施設の集中度、給与水準、そして移動支援の単価まで、思っている以上に違いがあります。東京ほどの差ではないとはいえ、大阪府内でも「どのエリアで働くか」によって条件は変わってきます。ご自身の希望する働き方・エリアに合わせて、こうした地域差も判断材料の一つにしていただければと思います。より具体的な大阪での転職相談については、上記の記事もあわせてご覧ください。
- 執筆者
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神野司(かみの つかさ)
大阪で訪問介護事業所を13年間経営。2018〜2022年は東京の高齢者デイサービス代表も兼任し、大阪・東京両方で採用面接を50例以上経験。
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