訪問介護の同一建物減算は、事業所と同じ敷地や建物に住む利用者への訪問で、報酬を10〜15%減らす決まりです。2024年度の改定で、訪問介護の同一建物減算に12%の区分も加わりました。
12%の区分は、提供の9割以上が同一敷地内建物等に集中する事業所が対象です。この記事では、4つの区分と計算方法、正当な理由を、厚生労働省の通知にもとづいて整理します。
訪問介護の同一建物減算とは|4つの区分
訪問介護の同一建物減算には、2024年度の改定後、次の4つの区分があります。どの建物に住む利用者か、その建物に何人住んでいるかで、減算の割合が変わります。
| 区分 | 対象になる利用者 | 減算 |
|---|---|---|
| ① | 事業所と同一敷地内・隣接する敷地内の建物、または同じ建物に住む人(②④を除く) | 10% |
| ② | ①の建物のうち、利用者が1か月あたり50人以上住む建物の人 | 15% |
| ③ | ①以外の建物で、利用者が1か月あたり20人以上住む建物の人 | 10% |
| ④ | 正当な理由なく、前6か月の提供総数の90%以上が、同一敷地内建物等の利用者(②を除く)への提供の場合 | 12% |
出典は、盛岡市の令和6年度介護報酬改定の説明資料(厚生労働省の改定資料の抜粋)です。対象の建物は、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に限りません。
神野司
訪問介護の同一建物減算の対象がいない事業所もあります。併設の住宅に訪問を始めるときは、どの区分に入るかを先に確かめておきましょう。
訪問介護の同一建物減算は何人から?
訪問介護の同一建物減算は、事業所と同一敷地内などの建物なら、1人からでも10%の減算になります。それ以外の建物では、その建物に住む利用者が1か月あたり20人以上になると対象です。
1か月あたりの利用者の数は、その月の1日ごとの利用者の合計を、その月の日数で割って出します。小数点以下は切り捨てます(出典:厚生労働省 留意事項通知(令和6年度改定))。
一体的に運営している総合事業(第一号訪問事業)の利用者も、あわせて数えます。
訪問介護の同一建物減算 1と2の違い
訪問介護の同一建物減算の1と2の違いは、同一敷地内などの建物に住む利用者の人数です。1か月あたり50人未満なら①の10%、50人以上なら②の15%の減算になります。
| 比べる点 | ①(10%) | ②(15%) |
|---|---|---|
| 建物 | 事業所と同一敷地内・隣接する敷地内の建物、または同じ建物 | |
| その建物の利用者の数 | 1か月あたり50人未満 | 1か月あたり50人以上 |
訪問介護の同一建物減算では、②に当たる利用者は、④の12%の計算から外します。
訪問介護の同一建物減算の計算方法
訪問介護の同一建物減算の計算方法は、1回ごとではなく、対象になる利用者の月の単位数の合計に、減算の割合を掛けます。出た単位数を、合計から差し引きます。
| 計算の例(①10%の利用者) | 数字 |
|---|---|
| 身体介護30分以上1時間未満(387単位)を月20回 | 387×20=7,740単位 |
| 減算する単位数(10%) | 7,740×0.1=774単位 |
| 減算後 | 7,740−774=6,966単位 |
計算のしかたの出典は、岡山市の留意事項の解説資料(老企第36号の通則)です。387単位は、鹿児島市の点検表に載っている単位数です。
区分支給限度基準額を計算するときは、減算する前の単位数を使います。減算を受ける人と受けない人の公平を保つためです。
訪問介護の同一建物減算の正当な理由
訪問介護の同一建物減算の正当な理由は、④の12%減算にだけ関わるもので、都道府県知事が認めれば減算されません。通知では、次のような例が示されています。
- 特別地域訪問介護加算を受けている事業所
- 判定期間の1か月あたりの延べ訪問回数が200回以下など、小規模な事業所
- そのほか、都道府県知事が正当な理由と認めた場合
訪問介護の同一建物減算④の判定は年2回です。3〜8月の割合で10月から翌3月、9〜2月の割合で4月から9月の減算が決まります。
割合が90%以上になった事業所は、前期は9月15日、後期は3月15日までに書類を出します。90%未満でも、計算した書類は2年間保存します(出典:厚生労働省 留意事項通知)。
訪問介護の同一建物減算まとめ
訪問介護の同一建物減算は、建物の場所と、そこに住む利用者の人数で区分が決まります。2024年度からは、事業所全体の提供の偏りを見る12%の減算もあります。
- 同一敷地内などの建物は1人から10%、50人以上で15%
- それ以外の建物は、1か月あたり20人以上で10%
- 提供の90%以上が同一敷地内建物等なら12%(正当な理由があれば除く)
- 減算は、月の単位数の合計に割合を掛けて計算する
判定や届け出の細かい扱いは、指定を受けた自治体の案内もあわせて確認してください。
- 執筆者
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神野司(かみの つかさ)
大阪で訪問介護事業所を13年間経営。2018〜2022年は東京の高齢者
デイサービス代表も兼任し、大阪・東京両方で採用面接を50例以上経験。
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