元・訪問介護事業所経営者が語る、現場のホンネ

介護職のシフト不満と人間関係|面接で確認すべきポイント

介護職のシフト不満と人間関係|面接で確認すべきポイント

「シフトの不満」が、人間関係にまで広がっていく理由

介護職の退職理由というと、給与や体力的な負担がまず挙がりますが、現場でじわじわと積み重なっていくのが「シフトの不満」です。勤務表の組み方、急な欠員対応、希望休の通りやすさ——一つひとつは小さな不満でも、積み重なると職場の人間関係そのものを悪くしていくことがあります。

以前の記事では退職理由全般を取り上げましたが、今回は「シフト」に絞って、なぜそれが人間関係の悪化にまでつながるのか、実際に見聞きしてきた場面をもとに整理します。

「相性の合わない利用者」に入り続けるということ

訪問介護の現場では、利用者にもヘルパーにも、それぞれ個性があります。体格の違い、コミュニケーションの得意・不得意、サービスへの意見の言い方——これらが組み合わさることで、「馬が合う・合わない」という相性の問題がどうしても生まれます。

私自身、登録ヘルパーだった頃、サービスの提供に厳しい意見を言う利用者を、他のヘルパーが敬遠する中で、繰り返し担当することが多くありました。正直、最初は気が重い担当でした。

神野司

神野司

ただ、あるとき気づいたことがあります。こちらから、おべんちゃらではなく、一人の人間として本当にその方を好いていく姿勢で接すると、相手の対応も少しずつ変わっていくんです。最初は大変でも、そこを越えると、良い関係を築けることが多かった。

これは、誰にでも簡単にできることではありません。コミュニケーションが得意な人もいれば、そうでない人もいます。合わないと感じたまま無理に続けると、不満が積み重なり、心身ともに消耗してしまいます。もし今、特定の利用者との相性で悩んでいるなら、「自分の努力不足だ」と抱え込む前に、事業所に率直に相談してみることをおすすめします。多くの事業所では、どうしても改善が難しい場合、担当の見直しといった対応を取ることもあります。

「時間は空けているのに、仕事が少ない」という不満

登録ヘルパーとして働く場合、時給制であるがゆえに生まれる特有の不満もあります。働ける時間を柔軟に提出しても、実際に割り振られる仕事が「1日1時間・週2件」程度と、思ったより少ないケースは珍しくありません。

さらに、身体介護・生活援助・移動支援といったサービスの種類によって時給が異なることも、不満の種になりやすいポイントです。時給の高いサービスの中でも、労力の軽いものが選ばれやすくなり、「割に合わない」と感じたヘルパーが、より条件の良い事業所へ移っていく——という流れは、現場でも繰り返し見てきました。

こうしたミスマッチは、入職後に気づいてからでは修正が難しい部分です。面接や職場見学の際に「希望する時間帯を伝えた場合、実際にどの程度の仕事量が見込めるか」を、具体的に確認しておくことをおすすめします。

急な欠員のしわ寄せが、特定の人に集中する

介護業界は人手不足が慢性化しており、急な欠員が出た際の「事前の取り決め」がきちんと整っている事業所ばかりではありません。結果として、対応できる人・断りにくい立場の人にしわ寄せが集中してしまう場面を、これまで数多く見てきました。

そして、こうして負担が偏った人は、ほぼ例外なく辞めていきます。その後、別の事業所で働いているという話を耳にするのも、決して珍しいことではありませんでした。

また、同性介護が基本となる業界の特性上、特定の性別のヘルパーが不足すると、その負担がさらに一部の人に偏りやすいという構造もあります。面接の際に「急な欠員が出た場合、誰がどうカバーする体制になっているか」を確認する重要性は、こうした背景からも言えることです。

「登録ヘルパー」という立場ゆえの疎外感

社員として働くスタッフは、事業所内の事情をある程度把握しているため、シフトの都合にも協力的な傾向があります。一方で、登録ヘルパーは、普段事業所に顔を出す機会が少ない分、たまたま忙しいタイミングで事業所を訪れて素っ気ない対応をされただけでも、「自分は大事にされていないのでは」と敏感に感じ取ってしまうことがあります。

こうした積み重ねから、登録ヘルパーと事業所側との間に、対立に近い空気が生まれてしまうケースを見てきました。この背景にあるのは、単純な相性の悪さというより、シフトを調整する立場ゆえの、構造的な人間関係の難しさです。誰かが意図的に冷たくしているというより、双方の立場の違いから、すれ違いが生まれやすい構造がある、と捉えた方が実態に近いと感じています。

もし今、そうした疎外感を感じているなら、それは必ずしもあなた個人の問題ではないかもしれません。気になることがあれば、溜め込まずに一言相談してみる、あるいは定期的に事業所に顔を出す機会を自分から作ってみる、といった小さな行動が、状況を変えるきっかけになることもあります。

希望休をめぐる不公平感(社員として働く場合)

正社員として働く場合、希望休は法律上保障された権利であり、事業所側もそれを尊重する必要があります。ただ、実際の運用では、事業所やチームの文化によって「通りやすさ」に差が出ることも事実です。この点も、面接時に確認しておいて損はないポイントです。

働き方によって、確認すべきポイントは変わる

ここまで見てきたように、シフトにまつわる不満は、登録ヘルパーとして働くか、正社員として働くかによって、性質が異なります。

  • 登録ヘルパーとして働く場合:仕事量の見込み、急な欠員時のフォロー体制
  • 正社員として働く場合:希望休の通りやすさ、チームの協力体制

ご自身がどちらの働き方を希望するかによって、面接で重点的に確認すべき点も変わってきます。

まとめ

シフトの不満は、単なる「働きにくさ」にとどまらず、積み重なることで人間関係の悪化や離職にまで発展することがあります。相性の合わない担当への向き合い方、仕事量の見込み、急な欠員時のフォロー体制、希望休の通りやすさ——これらは、入職後に初めて気づくのではなく、面接や職場見学の段階で確認できることでもあります。

ご自身の働き方の希望に合わせて、確認すべきポイントを押さえておくことが、後悔のない転職につながるはずです。

執筆者
神野司(かみの つかさ)
大阪で訪問介護事業所を13年間経営。2018〜2022年は東京の高齢者デイサービス代表も兼任し、大阪・東京両方で採用面接を50例以上経験。
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