「なぜ辞めたのですか」に、どう答えるべきか
転職の面接で、ほぼ必ずと言っていいほど聞かれるのが「前職を辞めた理由」です。答え方一つで印象が大きく変わるこの質問について、大阪・東京で50例以上の採用面接を行ってきたほか、経営者としてスタッフの退職面談・離職の相談にも数多く関わってきた立場から、お伝えします。
経営者として、退職理由の何を確認していたか
退職理由そのものがネガティブだから評価が低い、というわけではありません。私が確認していたのは、何が起こったのか、本人がその状況にどう対応したのか、そして次の職場に何を求めているのかという点です。パワハラや長時間労働、給与未払いのように、本人だけに問題があるとは限らない理由も当然あります。
そのため、「不満を口にするかどうか」だけを見ていたわけではありません。事実の説明が具体的か、そのときの自分の対応を話せているか、そして応募先である自社の環境と合っているかを、あわせて確認していました。
退職理由は「事実・対応・今後の希望」で整理する
退職理由を話すときは、次の3つを意識して整理しておくと、面接官にも状況が伝わりやすくなります。前向きな言葉に無理に言い換えるより、この順番で話すほうが、結果として説得力が増します。
- 1. 事実
- 何が起こったのか、状況を簡潔に説明する
- 2. 自分の対応
- その状況に対して、自分がどう対応したかを伝える
- 3. 次の職場への希望
- 応募先でどのように働きたいのかにつなげる
例えば人間関係が理由の場合、「風通しの良い環境を求めて転職を考えました」で終えるより、次のように事実と対応を添えるほうが、面接官には状況が伝わります。
- 人間関係が理由の場合
- 「業務上の情報共有が十分でなく、対応に差が生じることがありました。自分からも確認や共有を心がけていましたが、より連携しやすい環境で働きたいと考え、転職を決めました」
- 給与・待遇が理由の場合
- 「これまでの経験を正当に評価していただける環境で、長く働きたいと考えました」
- 体力的な負担が理由の場合
- 「無理なく長く続けられる働き方を見つけたいと考え、勤務形態を見直すことにしました」
これらはあくまで話の組み立て方の一例です。実際に経験していないことを、事実であるかのように話す必要はありません。自分の状況に合わせて、事実・対応・希望の順で整理してみてください。
ハラスメントなど、深刻な事情がある場合
退職理由がハラスメントなど深刻な問題に関わる場合、無理に前向きな言葉に置き換える必要はありません。事実関係を簡潔に説明すれば十分です。
神野司
避けたほうがいいNG例
退職理由を話すときの伝え方にも、面接官の印象を下げやすいパターンがあります。「前の職場の上司が理不尽だった」「同僚が全然仕事をしなかった」といった、状況の説明がないまま特定の個人や職場を一方的に非難する伝え方は、面接官の立場からすると、「うちの職場でも、同じように誰かのせいにするのではないか」という不安につながりやすい表現でした。
気になったのは、不満を口にしたこと自体ではありません。具体的な状況の説明がないまま、相手だけを責める形になっている場合に、事実を確認したくなっていました。何があったのかを簡潔に添えるだけでも、伝わり方は変わります。
円満退職の準備と、面接での伝えやすさ
面接での退職理由の伝え方は、退職時の対応とも関係することがあります。丁寧に引き継ぎを行い、円満に退職できた経験があれば、面接でも経緯を落ち着いて話しやすくなる場合があります。
ただし、円満退職ができたかどうかが、面接での評価を直接決めるわけではありません。職場の事情によっては、円満な退職が難しいこともあります。退職時の引き継ぎや退職の伝え方について整理しておきたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
円満退職の進め方|引き継ぎ・有給消化・退職の伝え方
carejoblink.com
まとめ
退職理由を聞かれたときは、事実を簡潔に伝えたうえで、自分がどう対応し、次の職場で何を実現したいのかを整理しておくことが大切です。無理に前向きな言葉へ置き換えたり、経験していないことを付け加えたりする必要はありません。深刻な事情がある場合は、なおさら事実を隠さず、簡潔に伝えることを優先してください。
- 執筆者
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神野司(かみの つかさ)
大阪で訪問介護事業所を13年間経営。2018〜2022年は東京の高齢者デイサービス代表も兼任し、大阪・東京両方で採用面接を50例以上経験。
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