元・訪問介護事業所経営者が語る、現場のホンネ

介護職を辞めたい理由、現場と経営、両方から見えたもの

介護職を辞めたい理由、現場と経営、両方から見えたもの

「介護職を辞めたい」——この言葉を、私は経営者として、現場の責任者として、

数えきれないほど聞いてきました。

辞めていく理由は、人によって様々です。ただ、13年間、現場と経営の両方を

見てきた立場から、いくつかの傾向が見えてきました。

優しさが、そのまま弱さになることがある

経験則からお伝えすると、介護の仕事に

就きたいと考える方の多くは、心が優しい方です。よく言えば優しく、

デメリットを挙げるなら、打たれ弱く、メンタル的にか弱い傾向があるように感じます。

そうした方は、自分自身と利用者様を重ね合わせて、「何とか力になりたい」と

考えているのだと思います。協調性も持ち合わせているぶん、

人間関係のストレスをためやすく、ある時一気に爆発してしまう

傾向も見受けられました。そうなると、「辞めたい」という結論に至ります。

神野司

神野司

こういう理由で辞めたいという方を、私は無理に引き止めません。

引き止めることで、その方の心が病んでしまうこともあるからです。

ただ、こうして辞めた方のその後を耳にすることがありますが、

同じような理由で、転職先でも同じことを繰り返されているケースを

何度か見聞きしています。

もし今、人間関係のストレスで「辞めたい」と感じているなら、環境を変える

こと自体は、決して悪い選択ではありません。ただ、同じパターンを繰り返さない

ために、「何が自分を追い詰めたのか」を、一度言葉にしてみることをおすすめします。

体力的な理由で辞めていく年代の変化

ヘルパー不足、特に若い担い手の不足は深刻です。

実際に転職を考える方の多くは、

中年から高齢者(50〜70歳)の年代でした。これは、ここ最近、

特に強く感じている傾向です。

訪問介護の入浴介助は、利用者様のご自宅での介助になります。浴槽や構造は

それぞれ異なり、バリアフリーではない、危険を伴う場での介護になることも

少なくありません。体力的な理由で「辞めたい」と感じる方が

出てくるのは、自然なことだと思います。

私の事業所では入浴介助が業務の中心だったこともあり、

こうした理由で辞めたいという方を、無理に引き止めることはしませんでした。

入浴介助以外にお任せできる仕事がなかったためです。

引き止めるか、引き止めないかの判断基準

経営者として、辞めていく方を「引き止める・引き止めない」の判断は、

理由によって変わります。

心が限界に近い方は、引き止めません。無理に引き止めることが、

その方をさらに追い詰めることになりかねないからです。

体力的な限界を理由にする方も、代わりに任せられる仕事がなければ、

引き止めません。できないことを続けさせることは、誰にとっても

良い結果を生まないと思っています。

「辞めたい」という言葉の裏にある理由を見極めることが、経営者にとっても、

本人にとっても、一番大切なことだと感じています。

まとめ:辞めたい理由は、悪いことばかりではない

「辞めたい」と感じることは、決して弱さの証明ではありません。

人間関係、体力、待遇——理由が何であれ、それは今の自分の状態を

正直に映し出しているサインだと思います。

大切なのは、その理由をきちんと言葉にして、次の職場選びに活かすことです。

転職回数や、志望動機の書き方についても、こちらの記事であわせて解説しています。

執筆者

神野司(かみの つかさ)

関西で訪問介護事業所を13年間経営。法人代表・管理者・現場のすべてを経験。

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