元・訪問介護事業所経営者が語る、現場のホンネ

介護職の転職面接で見られているポイント|元経営者の本音

介護職の転職面接で見られているポイント|元経営者の本音

「面接で何を話せば、採用担当に響くんだろう」

介護職の転職を考えたとき、多くの人がここで立ち止まります。
志望動機の書き方、面接での受け答え、転職回数のことまで、
ネット上にはたくさんの「正解らしきもの」が並んでいます。

ただ、そのほとんどは「転職を支援する側」からの視点
書かれたものです。実際に採用する側が、面接で何を見て、
何を基準に合否を判断しているのかは、あまり語られません。

私は13年間、訪問介護事業所の経営者として、法人代表・管理者・
現場のすべての立場から、数えきれないほどの面接に立ち会ってきました。
この記事では、その実感をもとに、面接官が実際に何を見ているのか
をお伝えします。

面接官は「話の内容」より先に、ここを見ている

面接というと、志望動機や自己PRの中身に意識が向きがちです。
ですが、採用する側の実感として、
面接当日を迎える前、面接日を決めるための電話の時点で、
すでに多くのことが見えています。

電話一本で見えてしまうこと

面接日を決める電話は、事務的なやり取りに思えるかもしれませんが、
採用する側にとっては最初の判断材料です。

例えば、電話の時点で言葉遣いが明らかに上から目線だった応募者は、
経験上その時点でほぼ不採用が決まってしまいます。そして実際に、
そういった方に限って、約束した面接に連絡なく来ないケースがほとんどでした。

神野司

神野司

正直にお伝えすると、約束した面接日時に、連絡なく来ない方は
体感で9割近くいました。「今日は行けなくなりました」の
一本の電話があるかないかだけで、その後の印象はまったく変わります。
当日の欠席連絡自体は誰にでもあり得ることですが、
その一本の電話をかけられるかどうかが、
働き始めてからの信頼にもそのままつながる感覚がありました。

電話の第一印象と、実際の面接が食い違うこともある

一方で、電話の対応だけで判断しきれないのも事実です。
電話口ではあまり感じが良くなく、正直あまり期待していなかった方が、
実際に会ってみると好印象で、そのまま採用に至ったケースもありました。

また、面接に5分ほど遅刻した方もいましたが、
道に迷って遅れる旨を事前に電話で伝えてきたうえ、
面接での礼儀もきちんとしていたため、採用に至ったこともあります。

結局のところ、多少のミスや行き違いよりも、
「連絡できるかどうか」「礼儀を保てるかどうか」のほうが、
ずっと重視されていたと思います。

志望動機で聞かれる「本当の意図」

介護職の志望動機として、「人の役に立ちたい」という言葉は
非常によく聞きます。ですが、採用する側からすると、
この言葉だけでは、正直あまり印象に残りません。

仕事を選り好みする発言は要注意

訪問介護の仕事には、身体介護、家事援助、外出時の付き添いなど、
様々な種類があります。募集要項にもその旨を明記していましたが、
面接の場で「家事援助だけしかできません」と最初から線を引く方も
いらっしゃいました。

こうした発言があった場合、こちらとしてはお断りすることが
ほとんどでした。仕事の幅を狭めたいという事情そのものは
理解できますが、面接の場でそれを最初に主張するかどうか
は、働く姿勢として見られているという点は知っておいて損はありません。

「条件面」を先に確認したがる姿勢について

面接日を決める電話の段階で、雇用保険についてしつこく確認してきたり、
「税の申告をしないでほしい」といった内容を求められたりしたことも
ありました。こうした場合は、その時点でお断りしています。

働く条件を確認すること自体はまったく問題ありませんが、
本来の勤務実態を隠すような相談は、
信頼関係を築く前提が崩れてしまうため、避けるべき対応です。

転職回数・ブランクについて、面接官は本当はどう思っているか

介護業界は人手不足が続いているため、
「転職回数が多いと不利になるのでは」と不安に思う方は多いです。

回数そのものより見ているポイント

経営者としての実感を正直にお伝えすると、
回数そのものより、「なぜ何度も転職することになったのか」
を自分の言葉で説明できるかどうか
を見ています。

同じ理由で転職を繰り返しているように見える場合は懸念材料になりますが、
その都度、環境や状況の変化に対して自分なりに判断してきたことが伝われば、
回数自体が致命的な減点にはなりにくいというのが実感です。

ブランクの説明で信頼を得る話し方

ブランク期間についても同様です。何も語らず濁すより、
その期間に何をしていたか、どう過ごしていたか
を簡潔に伝えるほうが、かえって安心感につながります。

面接での立ち居振る舞いから見えるもの

介護業界は人手不足が続いているため、「売り手市場」という意識を
強く持って面接に臨む方も少なくありません。ですが、その意識が
態度に出てしまうと、採用する側の印象は大きく変わります。

「働いてあげてもいい」という姿勢が伝わってしまうケース

面接の中で、すでに登録ヘルパーとして他の事業所と掛け持ちしていることを
説明した上で、「時間が合えば働いてあげてもいい」というニュアンスの
発言をされたことがありました。

人手不足の業界だからこそ、そうした姿勢を取りやすい状況があるのは
理解できます。ですが、こちらとしては
「機会があればお願いします」とお伝えして、その場でお引き取り
いただいた
というのが実際のところです。

売り手市場であることと、対等な礼儀を欠いていいことは、
まったく別の話です。採用する側も一人の人間として、
一緒に働きたいと思えるかどうかを見ています。

掛け持ち自体が問題なのではない

誤解のないようにお伝えすると、他の事業所と掛け持ちしていること
自体は、まったく問題視していません。訪問介護の仕事は、
生活スタイルに合わせて複数の登録ヘルパーとして働く方も多く、
それ自体は珍しいことではありません。

問題になるのは、掛け持ちという状況を、対等な立場を
崩す材料として使ってしまうかどうか
という一点です。

逆質問で差がつく理由

面接の最後に聞かれる「何か質問はありますか」という逆質問。
ここを軽く考えている応募者は少なくありません。

「特にありません」が避けられるべき理由

逆質問がないことは、必ずしも大きな減点にはなりませんが、
この事業所で働くことへの関心の度合い
伝わりにくくなるのは事実です。

経営者目線で好印象だった逆質問の傾向

給与や休みのことだけでなく、「実際の1日の流れ」「教育体制」
「長く働いている職員の共通点」など、入社後の自分を
具体的にイメージしようとしている質問
は、
意欲の高さとして伝わりやすい傾向がありました。

面接後、採用の可否を分けた最後の決め手

現場に馴染めそうかという視点

介護の現場はチームで動く仕事です。スキルや経験と同じくらい、
今いるスタッフと無理なくやっていけそうか
という視点で見ていました。

長く働き続けてくれそうかという視点

採用・教育にはコストと時間がかかります。だからこそ、
「即戦力かどうか」よりも、
ある程度長く働き続けてくれそうか
という視点を、
経営者としては強く意識していました。

まとめ:面接対策より大切なこと

面接のテクニックを覚えることよりも、
自分自身の経験や考えを、自分の言葉で説明できること
のほうが、結果的に伝わりやすいというのが、13年間見てきた実感です。

転職を考え始めたばかりで、何から準備すればいいか分からない場合は、
まず情報収集から始めてみるのも一つの方法です。
※東京・神奈川・埼玉・千葉にお住まいの方が対象のサービスです

執筆者
神野司(かみの つかさ)
関西で訪問介護事業所を13年間経営。法人代表・管理者・現場のすべてを経験。
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