元・訪問介護事業所経営者が語る、現場のホンネ

介護職に強い転職エージェントの選び方|求人数だけで選ばない5つの確認ポイント

介護職に強い転職エージェントの選び方|求人数だけで選ばない5つの確認ポイント

介護職の転職を考えて「転職エージェント」を調べ始めると、「介護職に強い」とうたうサービスがたくさん出てきて、どれを選べばいいのか迷うと思います。この記事では、介護職に強い転職エージェントとは何かをはっきり定義したうえで、自分に合うサービスを見分けるための5つの確認ポイントを整理します。「おすすめランキング」を見る前に、何を基準に比べればよいかを知っておくための記事です。

最初にお伝えしておくと、私自身は転職エージェントを利用した経験がありません。一方で、大阪の訪問介護事業所を13年間経営し、東京のデイサービスの代表も兼任するなかで、採用面接を50例以上経験してきました。求人はハローワークや求人サイト・求人誌で出しており、転職エージェントから営業の連絡を受けたことはありますが、利用はしていません。この記事は、「採用する側」で求職者と向き合ってきた立場から、求職者が転職エージェントを選ぶときの確認ポイントを整理したものです。各サービスの情報は、公式サイトと公的機関の情報をもとにまとめています。

介護職に強い転職エージェントとは?

結論:介護職に強い転職エージェントとは、単に求人数が多いサービスではなく、「介護職の求人を継続的に扱い、自分が希望する地域・資格・働き方に合う求人を紹介でき、求人票だけでは分からない情報まで確認でき、必要な転職支援を受けられるサービス」です。つまり「強い」かどうかは会社単位で決まるものではなく、あなたの条件との組み合わせで決まります。同じサービスでも、住んでいる地域や持っている資格、希望する働き方によって「強い・弱い」は変わります。

そのため、エージェントを選ぶときは「総求人数」や「知名度」ではなく、次の5つを自分の条件に当てはめて確認するのがおすすめです。

①希望地域の求人
自分が通える地域に、紹介してもらえる求人が十分にあるか
②資格・職種・雇用形態
自分の資格や希望する職種、正社員・パート・派遣などの働き方に対応しているか
③求人情報の詳しさ
シフトの実態や仕事内容など、求人票だけでは分からない情報を確認できるか
④サポート内容
応募書類、面接の日程調整、条件の確認など、自分に必要な支援を受けられるか
⑤事業者としての情報
職業紹介事業の許可や、就職実績などの公開情報を確認できるか

介護職の転職エージェントを選ぶ5つのポイント

ここからは、上の5つの確認ポイントを一つずつ具体的に説明します。どれも登録前にある程度調べられるものと、登録後に担当者へ確認するものがあります。「何を」「いつ」確認すればよいかを意識しながら読んでみてください。

①希望する地域の求人がある

「全国対応」と書かれていても、全国どこでも同じだけ求人があるとは限りません。サービスによって、掲載されている求人の地域には偏りがあることがあります。自分が通える地域にどれだけ求人があるかは、実際に検索してみないと分かりません。

確認するときは、公式サイトの求人検索で自分の通勤圏の市区町村まで絞り込んで、どれくらい求人が出てくるかを見てみましょう。公開求人が少ない地域でも、非公開求人を紹介できる場合があるため、登録後に「この地域でどのくらい紹介できそうか」を担当者に直接聞くのも有効です。

②資格・職種・雇用形態が合っている

介護職向けのサービスでも、得意とする働き方はさまざまです。当サイトで調べたサービスでも、クリックジョブ介護は正社員とパート・アルバイトに対応する一方で、1日だけ・3か月だけといった派遣のような期間限定の案件は扱っていないと公式FAQに書かれていました。一方、かいご畑は、介護職の求人紹介に加えて人材派遣にも対応しているサービスです(公式サイトに有料職業紹介事業と労働者派遣事業の両方の許可番号が掲載されています)。

無資格・未経験から始めたいのか、介護福祉士やケアマネジャーの資格を活かしたいのか、正社員・パート・派遣のどれで働きたいのかによって、合うサービスは変わります。自分の希望する働き方が、そのサービスの守備範囲に入っているかを最初に確認しておくと、希望と違う求人を紹介されるずれを減らせます。

③求人情報を具体的に確認できる

介護の求人票には、給与や勤務時間は書かれていても、実際のシフトの組まれ方や、どんな利用者を担当するのかまでは書かれていないことが多いものです。介護・福祉分野に特化したサービスの中には、担当者が施設の情報を持っていたり、職場の雰囲気について情報を持っていたりするところがあります。登録前の説明や初回のヒアリングで、紹介する求人の職場情報をどこまで教えてもらえるかを聞いてみるのも一つの方法です。

ただし、担当者がどこまで詳しい情報を持っているかは、サービスや担当者によって差があります。紹介された求人について「夜勤は月に何回くらいか」「1人で担当する場面はあるか」など具体的に質問し、はっきり答えてもらえるかを見ることで、そのエージェントの情報の詳しさを判断できます。

④必要な転職サポートを受けられる

転職エージェントのサポート内容は、求人紹介、応募書類の添削、面接対策、面接の日程調整、給与や入社日などの条件の確認・交渉などが一般的です。ただし、どこまで対応するかはサービスによって違います。

大切なのは「サポートが多いサービス」を選ぶことではなく、自分が必要としているサポートがあるかです。初めての転職で面接が不安なら面接対策、在職中で時間がないなら日程調整、電話でのやり取りが難しいならLINEやメールでの相談ができるかを確認しましょう。たとえばクリックジョブ介護は、公式サイトでLINEでの転職相談に対応していると案内しています。

⑤運営会社・職業紹介事業者としての情報を確認する

この⑤は、「介護職に強いか」を直接判断する材料というより、登録前に、適法に職業紹介事業を行っている事業者か、公表されている運営情報を確認するための項目です。転職エージェントの多くは有料職業紹介事業として運営されており、有料職業紹介事業を行うには厚生労働大臣の許可が必要です。公式サイトの会社概要などに「許可番号(◯◯-ユ-◯◯◯◯◯◯の形式)」が載っているかを確認しておきましょう。

さらに、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」では、職業紹介事業者ごとに、あっせんした就職者数、そのうち採用後6か月以内に離職した人数、紹介手数料の実績、返戻金制度の有無などを検索・確認できます(厚生労働省・都道府県労働局のリーフレットによる)。また、厚生労働省は医療・介護・保育分野について、定めた基準を満たす事業者を「適正な有料職業紹介事業者」として認定・公表しています。知名度や広告の量ではなく、公的な情報でも運営状況を確かめられることは、覚えておいて損はありません。

参考:厚生労働省・都道府県労働局「国内全ての職業紹介事業者に関する情報を確認・検索できるサイトのご案内」(PDF)/医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度(厚生労働省委託事業)

求人数が多い転職エージェントを選べばいい?

転職エージェントを比べるとき、多くの比較サイトで最初に出てくるのが「求人数」です。求人数が多いことは選択肢の広さにつながりますが、「求人数が一番多い=介護職に強い」とは限りません。ここでは、求人数の見方で気をつけたい2つの点を説明します。

総求人数より「自分の条件で絞った求人数」を見る

全国で何万件の求人があっても、自分が通える地域に数件しかなければ、実際に選べる求人は多くありません。反対に、総求人数が少なめのサービスでも、自分が希望する地域や働き方に合う求人が多ければ、自分にとっては選択肢が多いこともあります。

求人数を比べるときは、総数ではなく「希望地域」「職種」「資格」「雇用形態」「勤務条件(日勤のみ・夜勤ありなど)」まで絞り込んだ件数で比べましょう。たとえば「大阪府の介護求人◯万件」という数字だけでは、自分にとって求人が多いかは判断できません。「大阪市」「介護福祉士」「正社員」「日勤のみ」まで絞り込んだときに、どれだけ選択肢が残るかを見る方が、実際の転職では意味があります。求人数は日々変わるため、比較サイトに載っている数字より、自分で検索した今の件数を優先してください。

非公開求人の数だけで判断しない

「非公開求人が多い」という説明もよく見かけます。非公開求人とは、サイト上に公開せず、登録者に個別に紹介される求人のことです。公開されていない分、登録前に中身を確かめることはできません。

大切なのは非公開求人の数ではなく、自分の希望地域・条件に合う求人を、実際に紹介してもらえるかです。登録後に紹介された求人の内容を見て、希望に合っているかで判断するのが確実です。

転職エージェントと求人サイトは何が違う?

介護職の転職では、転職エージェントのほかに、自分で求人を探して応募する「求人サイト」もよく使われます。どちらが良いというより、進め方が違います。一般的な傾向を比べると、次のようになります。対応内容はサービスによって違うため、あくまで目安として見てください。

比較ポイント 転職エージェント 求人サイト
求人の探し方 担当者から紹介。自分で検索できるサービスもある 自分で検索する
応募 担当者経由が一般的 自分で直接応募する
面接対策 対応するサービスがある 原則自分で準備する
条件の確認・交渉 担当者に相談できる場合がある 自分で確認する
進めるペース 担当者と調整しながら進める 自分のペースで進めやすい

転職エージェントが無料で使える仕組み

転職エージェントは、求職者と求人を出す事業所の間に入り、雇用が成立するようにあっせんする「職業紹介」の仕組みで運営されています。手数料は採用が決まった事業所側が支払うのが一般的で、職業安定法でも、有料職業紹介事業者は原則として求職者から手数料を取ってはならないと定められています(第32条の3)。

そのため、一般的な転職エージェントでは、求職者は無料で利用できます(有料職業紹介事業者が求職者から手数料を取ることには、法令上の制限があります)。ただし、有料職業紹介では、採用が決まった事業所側から紹介手数料を受け取る形が一般的なので、紹介された求人が自分に合っているかは、担当者任せにせず自分でも確かめることが大切です。

転職エージェントと求人サイトはどちらが向いている?

面接や条件の確認・交渉に不安がある人、在職中で求人を探す時間が取れない人、求人票だけでは分からない情報を知りたい人は、転職エージェントが向いています。反対に、自分のペースで求人を比べたい人、担当者とのやり取りを負担に感じる人は、求人サイトの方が進めやすいでしょう。

どちらか一方に決める必要はありません。求人サイトで相場や求人の傾向をつかみながら、気になる条件についてはエージェントに相談する、という併用も一つの方法です。

介護職向け転職サービスを選ぶときの確認例

ここでは、当サイトで公式サイトや公開情報を調べた介護職向けの転職サービスを例に、ここまでの5つのポイントで特徴を整理します。当サイトでは利用経験がないため、ランキング形式で優劣は付けていません。自分の条件に近い「検討したい人」の列を参考にしてください。

サービス 運営会社 主な特徴(公式情報より) 確認しておきたいこと 検討したい人
クリックジョブ介護 ライフワンズ株式会社 介護業界専門の転職支援。正社員・パート・アルバイトに対応。LINEでの相談に対応 派遣のような期間限定の案件は扱っていない。地域によって求人数に差がある 転職活動を担当者に相談しながら進めたい人
かいご畑 株式会社ニッソーネット 介護職専門の求人・人材派遣サービス。公式サイトのよくある質問では「かいご畑でお仕事が決まれば、無料で介護資格が取れます」と案内している 無料で資格が取れる対象の働き方(以前の公式の制度説明では、派遣スタッフとして就業中の人が対象)や講座の条件は、登録時に確認する 未経験・無資格から、働きながら資格を取りたい人
介護JJ 株式会社ハートフルケア(JJメディケアキャリア事業部) 介護・福祉分野の求人サイト・転職支援サービス。都道府県や「日勤のみ」「資格取得支援あり」などのこだわり条件で求人を検索でき、有料職業紹介事業の許可あり 地域によって掲載求人の数や職種に違いがある 地域や細かい条件で求人を絞り込んで探したい人

※各サービスの運営会社・特徴は、2026年9月24日に各公式サイト(会社概要・サービス紹介・よくある質問など)で確認した内容です。サービス内容や対象条件は変わることがあるため、登録前に必ず公式サイトで最新の情報を確認してください。それぞれの良い口コミ・悪い口コミや登録時の注意点は、次の記事で詳しくまとめています。

介護職の転職エージェントを使うメリット・注意点

転職エージェントは便利な一方で、使い方によっては負担に感じることもあります。登録してから「思っていたのと違った」とならないよう、メリットと注意点の両方を知っておきましょう。

転職エージェントを使うメリット

最大のメリットは、求人探しから応募、面接の日程調整、条件の確認までを担当者に相談しながら進められることです。在職中で時間がない人や、給与・入社日などの条件を自分から切り出しにくい人にとっては、心強い存在になります。

転職エージェントは、求職者と求人を出す事業所の間に入り、求人の条件や求職者の希望を確認しながら職業紹介を行う仕組みです。自分の希望を担当者に整理して伝えておけば、応募の前に条件の確認を手伝ってもらえるのも利点です。

転職エージェントを使うときの注意点

一方で、注意しておきたい点もあります。当サイトで各サービスの口コミを調べたときも、次のような声は複数のサービスで共通して見られました。

担当者との相性
対応の丁寧さや提案の的確さは担当者によって差がある。合わないと感じたら、サービスによっては担当者の変更を相談できる
連絡の頻度
「電話が多い」「連絡が来ない」と正反対の声がある。最初に希望の連絡方法と時間帯を伝えておく
紹介求人とのずれ
希望条件があいまいなまま伝わると、希望と違う求人を紹介されやすい。優先順位を整理してから相談する
最終判断は自分で
紹介された求人も、条件や職場の実態は自分でも確認する。断ってもよい

採用面接を50例以上経験した立場から見る「求人確認のポイント」

ここからは、事業所の経営者として採用面接をしてきた私の立場からお伝えします。エージェントを使う場合も、求人サイトから直接応募する場合も、応募前に確かめておいてほしいと感じてきたことが2つあります。どちらも、入職してから「こんなはずではなかった」となりやすいポイントです。

勤務形態・シフトの実態を確認する

採用する側にいて、「応募前にここを確認しておいてもらえればよかった」と感じることが多かったのが、勤務形態やシフトの実態です。求人票に「シフト制」「週休2日」と書かれていても、夜勤の回数、土日や祝日の出勤の頻度、急な欠員が出たときの対応、訪問介護なら移動の距離や件数など、実際の働き方は職場ごとに大きく違います。

エージェントを使うなら、「このシフトの実際の回数や組み方」を担当者に確認してもらうことができます。自分で応募する場合も、面接や職場見学の場で遠慮せず聞いてかまいません。採用する側としても、入職後に合わずに辞めてしまうより、最初に確認してもらえる方がありがたいものです。

仕事内容・利用者像を確認する

もう一つが、仕事内容や、どんな利用者を担当するのかという点です。同じ「介護職」でも、身体介護が中心なのか生活援助が中心なのか、介護度の高い利用者が多いのか、医療的なケアが必要な方がいるのかによって、仕事の中身も負担も変わります。

求人票の「仕事内容」欄だけでは、ここまで分からないことがほとんどです。担当する利用者の状態や、1日の仕事の流れを具体的に聞いておくことで、入職後の認識違いを減らせます。面接や職場見学で確認したい質問は、次の記事でまとめています。

介護職の転職エージェントに登録する前に確認する5ステップ

ここまでの内容を、実際に動くときの順番にまとめます。いきなり登録するのではなく、次の5つのステップで確認していくと、自分にとって「強い」エージェントかどうかを判断しやすくなります。

STEP1 希望地域で求人を検索する
公式サイトの求人検索で、通勤圏の市区町村まで絞り込んで求人があるかを見る
STEP2 資格・雇用形態で絞り込む
自分の資格、正社員・パート・派遣など希望の働き方で絞っても、選択肢が残るかを確認する
STEP3 求人の仕事内容・勤務条件を見る
シフトや利用者像など、求人票で分からない点を書き出しておく
STEP4 必要なサポートと運営情報を確認する
面接対策・日程調整・連絡手段など自分に必要な支援があるか、許可番号などの運営情報も見ておく
STEP5 気になるサービスに相談する
気になるサービスに相談し、STEP3で書き出した疑問を担当者に聞く。必要に応じて2〜3社程度を比べると、答え方や紹介される求人の違いを確認しやすい

具体的なサービスの特徴や口コミ、登録時の注意点は、上の「確認例」で紹介した各サービスの記事で確認できます。

まとめ|介護職の転職エージェントは「自分の条件に合う求人」で選ぶ

介護職に強い転職エージェントとは、総求人数や知名度が大きいサービスのことではありません。介護職の求人を継続的に扱い、自分が希望する地域・資格・働き方に合う求人を紹介でき、求人票だけでは分からない情報まで確認でき、必要な支援を受けられるサービスが、あなたの条件に合うサービスです。

選ぶときは、次の5つを自分の条件に当てはめて確認してみてください。

  1. 希望地域の求人:通勤圏まで絞り込んで、紹介してもらえる求人があるか
  2. 資格・職種・雇用形態:自分の働き方がサービスの守備範囲に入っているか
  3. 求人情報の詳しさ:シフトの実態や利用者像を具体的に答えてもらえるか
  4. サポート内容:自分に必要な支援(面接対策・日程調整・連絡手段など)があるか
  5. 事業者としての情報:許可番号や人材サービス総合サイトの情報を確認できるか

1つのサービスに絞る必要はありません。1社だけでは、担当者や紹介される求人が自分に合っているかを判断しにくい場合もあるため、必要に応じて2〜3社程度を比べると違いを確認しやすくなります。

介護求人を職種・地域で絞り込んで検索する方法は、以下の記事でまとめています。

執筆者
神野司(かみの つかさ)
大阪で訪問介護事業所を13年間経営。2018〜2022年は東京の高齢者デイサービス代表も兼任し、大阪・東京両方で採用面接を50例以上経験。
詳しいプロフィールはこちら

※当サイトでは、商品・サービスの紹介にアフィリエイト広告を利用しています。

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