介護福祉士の受験資格とは
介護福祉士国家試験には、実務経験+実務者研修/養成施設/福祉系高校/その他(EPA)という、複数の受験資格ルートがあります。まず最初に確認すべきポイントは、自分がどのルートに該当するのかを把握することです。特に、すでに介護職として働いている方は、「実務経験+実務者研修」ルートを中心に確認していくことになります。

介護福祉士の受験資格は何がある?
公益財団法人社会福祉振興・試験センターの案内によると、介護福祉士国家試験の受験資格は、大きく次のように分類できます。自分がどのルートに該当しそうか、まずはざっと目を通してみてください。
- 実務経験+実務者研修(介護職として実務経験を積んでいる方が確認するルート)
- 養成施設(専門学校・大学等で所定の課程を修了)
- 福祉系高校(入学年度によって扱いが異なる)
- その他のルート(EPA=経済連携協定に基づく外国人介護福祉士候補者等)
「介護職として何年働けば必ず受験できる」と単純化はできません。ルートによって必要な年数・修了すべき研修・卒業年度による経過措置などの条件が細かく分かれているため、次の見出しから、それぞれの条件を確認していきます。
介護福祉士の受験資格を確認する方法
自分の受験資格を確認する際は、現在の勤務状況・実務経験の期間と日数・研修の修了状況などを整理したうえで、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが公開している受験資格の案内で確認するのが基本です。実務経験を証明する書類(実務経験証明書等)は勤務先の発行が必要になるため、早めに確認しておくと安心です。
この記事の説明だけで「あなたは受験できます」と断定することはできません。制度の詳細な要件は年度によって変わることがあるため、最終的な判断は必ず試験センターの最新情報、または勤務先の実務経験証明書発行担当者に確認してください。
介護福祉士の受験資格|実務経験ルート
現在介護職として働いている方が、最も確認したいのがこの「実務経験+実務者研修」ルートです。ここでは、実務経験の年数・対象範囲・実務者研修の位置づけを詳しく見ていきます。

介護福祉士は実務経験3年以上なら受験できる?
ここは曖昧にできない部分です。結論として、実務経験3年以上を満たしているだけでは受験できません。公益財団法人社会福祉振興・試験センターの案内では、「平成28年度(第29回)試験から、実務経験に加えて、養成施設等における『実務者研修』の修了が必要」と明記されています。
つまり、実務経験ルートで受験するには、実務経験の年数・日数の要件と、実務者研修の修了の、両方を満たす必要があるということです。「実務経験だけ積んでおけば大丈夫」という思い込みで研修を後回しにしないよう注意してください。
介護福祉士の実務経験は何年必要?
実務経験ルートで求められる実務経験は、「3年」という数字だけで判断できるものではありません。試験センターの基準では、次の2つの要件を両方満たす必要があります。
- 従業期間:実務経験の対象となる施設・職種での在職期間として1,095日(3年)以上
- 従事日数:実際に介護等の業務に従事した日数として540日以上
「在籍していた期間」と「実際に介護の仕事をしていた日数」は別物としてカウントされるため、勤務日数が少ない働き方をしている場合、在職3年を超えていても従事日数540日に届いていないケースがあります。従業期間と従事日数の具体的な数え方は、勤務形態や勤務実績によって確認が必要になるため、勤務先が作成する実務経験証明書や試験センターの案内で確認してください。
どんな介護の仕事が実務経験になる?
実務経験として認められる範囲は、勤務先・職種・業務内容によって決まっています。「介護職なら全部対象」というわけではありません。対象・対象外の例は、それぞれ次のとおりです。
- 対象になりやすい例:特別養護老人ホーム・養護老人ホームなどの介護職員、障害者支援施設・グループホームの介護職員、訪問介護(居宅介護・重度訪問介護)のホームヘルパーやガイドヘルパーなど、主たる業務が介護等の業務である職種
- 対象外になりやすい例:事務員、介護支援専門員(ケアマネジャー)、調理員、栄養士、相談員、運転手など、主たる業務が介護等の業務ではないと判断される職種
同じ職場に勤務していても、担当している業務内容によって対象・対象外が分かれることもあります。自分の実務経験が対象になるかどうかは、勤務先または試験センターに確認してください。
介護福祉士の受験資格|実務者研修とは
実務経験ルートを考えている方の多くが気になるのが、「実務者研修とは何か」という点です。ここでは、実務経験ルートにおける実務者研修の位置づけを整理します。
実務者研修を修了する必要がある?
前述のとおり、実務経験ルートで受験するには、実務者研修の修了が必要です。また、介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修を修了している場合は、別の受験資格区分として扱われます。実務経験の年数・日数を満たしていても、必要な研修等の条件を満たしていなければ、実務経験ルートでの受験資格は得られません。
実務者研修はいつまでに修了すればいい?
実務者研修をいつまでに修了すればよいかというタイミングは、受験申込の時期や年度ごとの案内によって扱いが変わります。年度によって申込期間や必要書類が変わるため、特定の日付をうのみにしないでください。受験する回の公式案内(受験の手引き等)で、その年度の最新情報を必ず確認してください。
実務者研修の費用や期間はどのくらい?
実務者研修の費用・受講期間・受講方法(通信・通学の組み合わせ方等)は、スクール(研修実施機関)によって異なります。保有資格(無資格・初任者研修修了など)によって、免除される科目があり、その分費用や期間が変わることもあります。具体的な金額を確認する際は、各スクールの最新の募集要項で確認してください。
資格別の給与差については、以下の記事でも詳しく解説しています。
資格別の給与の違い|無資格・初任者研修・実務者研修・介護福祉士でどう変わるか
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介護福祉士の受験資格|養成施設ルート
ここまで紹介した実務経験ルートのほかに、介護福祉士養成施設を卒業して受験資格を得るルートもあります。実務経験を積む必要がない分、現場での経験がない方でも目指しやすいルートです。

介護福祉士養成施設とは
介護福祉士養成施設は、専門学校・短期大学・大学等に設置された、介護福祉士を目指すための教育課程です。所定の課程を修了することで、介護福祉士国家試験の受験資格を得られます。なお、養成施設を令和8年度末までに卒業する方には、国家試験に合格しなくても一定期間、介護福祉士として登録できる経過措置があります。
養成施設を卒業すれば介護福祉士になれる?
ここは、現在の制度と経過措置を混同しないよう注意が必要な部分です。公益財団法人社会福祉振興・試験センターの案内によると、経過措置の対象となる卒業者(令和8年度末までの卒業者)は、国家試験に合格しなくても、卒業後5年間は介護福祉士になることができます。ただし、5年経過後も資格を継続するには、国家試験に合格するか、卒業後5年間続けて介護等の業務に従事する必要があります。
一方、令和9年度以降に養成施設を卒業する方は、経過措置の扱いが異なります。令和9年4月1日から令和14年3月31日までに養成施設を卒業する方も経過措置登録の対象となりますが、資格登録有効期限を解除するには国家試験に合格する必要があります。卒業年度によって登録の扱いが異なるため、自分が対象となる年度については、必ず試験センターの最新情報を確認してください。
介護福祉士の受験資格|福祉系高校などのルート
実務経験ルート・養成施設ルート以外にも、福祉系高校を卒業して受験資格を得るルートがあります。入学した年度によって扱いが異なるため、ここでは概要を整理します。
福祉系高校を卒業した場合
福祉系高校のルートは、試験センターの案内でも「平成21年度以降入学者」「特例高校等」「平成20年度以前入学者」のように、入学年度ごとに扱いが分かれています。同じ「福祉系高校卒業」でも、入学したタイミングによって必要な条件が異なる点に注意してください。
過去の制度による受験資格がある場合
古い制度の情報と、現在の制度の情報を混ぜて判断しないでください。介護福祉士の受験資格に関する制度は、これまで複数回見直されています。過去に取得した単位・修了した課程が、現在どのように扱われるかは、卒業年度・入学年度によって個別に異なるため、最終的な確認は必ず試験センターの最新情報で行ってください。
自分が介護福祉士を受験できるか確認する方法
ここまで読んで、「結局、自分は受験できるのか」を整理したい方に向けて、状況別に確認する流れをまとめます。現在の立場によって、確認すべき順番が変わります。

介護職として働いている人
すでに介護職として働いている方は、次の順番で確認してください。実務経験の要件から、実務者研修の修了状況まで、順に整理していきます。
- 実務経験(従業期間1,095日以上・従事日数540日以上)を満たしているか
- 実務者研修を修了しているか、または修了の見込みがあるか
- そのほかの必要条件(証明書類等)を勤務先・試験センターで確認する
これから介護職として働く人
まだ介護職として働いていない、資格取得を検討している段階の方は、「介護職として働く→実務経験を積む→実務者研修を修了する→国家試験を受験する」という実務経験ルートが、現実的な選択肢の一つになります。もちろん、養成施設に進学するルートを選ぶことも可能です。自分の状況(働きながら目指すか、先に学校で学ぶか)に合わせて、ルートを検討してください。介護福祉士の資格取得までの全体的な流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
介護福祉士の資格の取り方|受験資格・実務者研修・試験までの流れを解説
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介護福祉士の受験資格を満たしたら次に何をする?
受験資格を確認できたら、次に必要なのは試験対策です。受験資格を満たしていることと、実際に合格できることは別の問題のため、ここからは勉強の進め方を確認していきます。
介護福祉士国家試験の勉強を始める
受験資格を確認しただけでは、当然ながら合格にはつながりません。次のステップとして、試験範囲・過去問の使い方・勉強計画の立て方を確認しておく必要があります。具体的な勉強の進め方は、以下の記事で詳しく解説しています。
介護福祉士の勉強方法|働きながら合格を目指す勉強法・過去問の使い方を解説
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独学と通信講座を比較する
勉強を始めるにあたっては、独学で進めるか、通信講座を利用するかという選択も出てきます。「働きながら勉強したい」「学習範囲を自分で整理するのが難しい」「講義や質問サポートを使って勉強したい」という方には、通信講座を利用する方法もあります。独学・通信講座それぞれの特徴や、通信講座の具体的な内容については、上記の勉強方法の記事で比較しています。
介護福祉士の受験資格に関するよくある質問
ここでは、介護福祉士の受験資格について、検索されやすい疑問をまとめて確認します。個別の条件によって判断が分かれる質問が多いため、最終的な確認先もあわせて紹介します。
介護福祉士は実務経験だけで受験できますか?
実務経験だけでは受験できません。平成28年度(第29回)試験以降、実務経験ルートでは実務経験の年数・日数の要件に加えて、実務者研修の修了が必須になっています。
実務者研修を受けていないと受験できませんか?
実務経験ルートで受験する場合、実務者研修の修了は必須の要件です。ただし、養成施設ルートや福祉系高校ルートなど、実務者研修を前提としないルートもあるため、自分がどのルートに該当するかによって扱いが異なります。
介護福祉士の実務経験はパートでも認められますか?
雇用形態がパートであることを理由に、一律で対象外になるわけではありません。従業期間(在職期間)1,095日以上・従事日数(実際に介護等の業務に従事した日数)540日以上という要件を満たしているかどうかで判断されます。ただし、勤務日数が少ない働き方の場合、必要な従事日数に達するまでの期間が長くなります。詳しくは勤務先、または試験センターに確認してください。
訪問介護の経験は実務経験になりますか?
居宅介護・重度訪問介護などの訪問介護員(ホームヘルパー)やガイドヘルパーとして、主たる業務が介護等の業務である場合は、実務経験の対象に含まれます。ただし、担当している業務内容によって扱いが分かれることもあるため、不明な場合は勤務先または試験センターに確認してください。
無資格・未経験から介護福祉士を目指せますか?
無資格・未経験からでも、介護職として働きながら実務経験を積み、実務者研修を修了することで、実務経験ルートの受験資格を得ることができます。養成施設に進学するルートを選ぶことも可能です。どちらのルートも、資格取得までに一定の年数がかかることは前提として考えておく必要があります。
自分の受験資格が分からない場合はどうすればいい?
この記事で紹介した内容はあくまで一般的な整理です。自分の実務経験の年数・日数や、修了した研修・課程が受験資格に該当するかどうかは、公益財団法人社会福祉振興・試験センターの最新の案内、または勤務先の実務経験証明書発行担当者に確認することをおすすめします。
介護福祉士の受験資格まとめ
介護福祉士の受験資格について、重要なポイントを整理します。ここまで読んで自分のルートに見通しがついた方は、次の3点を押さえておいてください。
- 介護福祉士には、実務経験+実務者研修/養成施設/福祉系高校/その他(EPA)という、複数の受験資格ルートがある
- 実務経験ルートでは、実務経験(従業期間1,095日以上・従事日数540日以上)だけでなく、実務者研修の修了などの条件確認が必要
- 受験資格を確認できたら、次は試験対策・過去問対策へ進む
自分の受験資格に見通しがついたら、次は試験範囲の把握や過去問を使った勉強方法を確認していきましょう。
介護福祉士の勉強方法|働きながら合格を目指す勉強法・過去問の使い方を解説
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- 執筆者
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神野司(かみの つかさ)
大阪で訪問介護事業所を13年間経営。2018〜2022年は東京の高齢者デイサービス代表も兼任し、大阪・東京両方で採用面接を50例以上経験。
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