介護福祉士の資格の取り方とは?
介護福祉士には複数の資格取得ルートがあり、なかでも現在介護職として働いている方の多くが対象になるのが「実務経験+実務者研修」を経て国家試験を受験するルートです。厚生労働省・公益財団法人社会福祉振興・試験センターも、資格取得方法を実務経験ルート・養成施設ルート・福祉系高校ルート・EPAルートなど、複数のルートに分けて案内しています。この記事では、資格取得までに何をすればいいのかを、全体の流れから具体的に解説します。

介護福祉士になるまでの流れ
「結局、何から始めればいいのか」という疑問に対する答えは、実務経験ルートの場合、大きく次の順番になります。一つずつ段階を踏むことで、遠回りせずに資格取得までたどり着けます。
- 介護職として働き始める
- 実務経験(従業期間・従事日数)を積む
- 実務者研修を修了する
- 介護福祉士国家試験を受験する
- 合格後、資格登録の手続きを行う
すでに介護職として働いている方は、このうち「介護職として働き始める」のステップはクリアしているため、次に確認すべきは実務経験の年数・日数と、実務者研修の受講状況になります。
介護福祉士の資格取得にはどんな方法がある?
実務経験ルートだけが唯一の方法ではありません。介護福祉士の資格取得ルートは、大きく次のように分かれます。
- 実務経験ルート:介護職として実務経験を積み、実務者研修を修了して受験するルート
- 養成施設ルート:専門学校・短期大学・大学等の養成施設で所定の課程を修了するルート
- 福祉系高校ルート:入学年度によって扱いが異なるルート
- EPAルートなど:経済連携協定に基づく外国人介護福祉士候補者向けのルート
養成施設ルートには、卒業年度による経過措置があるなど、ルートごとに制度や条件が異なります。すべての読者に同じ取得方法を当てはめることはできません。この記事では、現在介護職として働いている方に該当しやすい実務経験ルートを中心に解説します。
介護福祉士の資格の取り方|実務経験ルート
現在介護職として働いている方が、最もイメージしやすいのがこの実務経験ルートです。ここでは、実務経験・実務者研修・国家試験受験という3つのステップを詳しく見ていきます。

介護職として実務経験を積む
「介護の仕事を3年やれば資格が取れる」と単純に考えないでください。公益財団法人社会福祉振興・試験センターの基準では、実務経験として認められるには、従業期間(在職期間)1,095日(3年)以上に加えて、従事日数(実際に介護等の業務に従事した日数)540日以上を満たす必要があります。さらに、対象となる施設・事業・職種の範囲にも条件があるため、自分の勤務実績が対象になるかどうかは個別の確認が必要です。
実務者研修を修了する
実務者研修は、介護福祉士国家試験の実務経験ルートに関係する研修です。厚生労働省の基準では、無資格の方が受講する場合は450時間・標準6か月以上とされています。介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)を修了している方は130時間分の科目が免除され、320時間・約4か月に短縮されます。「実務経験3年=そのまま受験できる」わけではありません。実務経験の年数・日数の要件に加えて、この実務者研修を修了していることが受験資格の条件です。
介護福祉士国家試験を受験する
実務経験・実務者研修の条件を満たしたら、介護福祉士国家試験の受験申込に進みます。受験申込には、実務経験を証明する「実務経験証明書」など、勤務先の発行が必要な書類がいくつかあります。早めに勤務先へ相談しておくと、申込時期になって慌てずに済みます。
介護福祉士の資格を取るための実務経験とは?
「自分の今の仕事が実務経験として認められるのか」は、実務経験ルートを考えている方の多くが気になるポイントです。ここでは、実務経験の年数・対象範囲・雇用形態について詳しく確認します。

介護福祉士の実務経験は何年必要?
「3年以上」という情報だけで判断はできません。試験センターの基準では、従業期間(在職期間)1,095日(3年)以上と、従事日数(実際に介護等の業務に従事した日数)540日以上の、両方を満たす必要があります。在職していた期間と、実際に介護の仕事をしていた日数は別物としてカウントされるため、勤務日数が少ない働き方をしている場合、在職3年を超えていても従事日数540日に届いていないケースがあります。
どんな施設・事業所で働けばいい?
実務経験の対象になりやすいのは、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設などの介護職員、障害者支援施設・グループホームの介護職員、訪問介護(居宅介護・重度訪問介護)のホームヘルパーやガイドヘルパーなど、主たる業務が介護等の業務である職種です。一方、事務員・介護支援専門員(ケアマネジャー)・調理員・栄養士など、主たる業務が介護等の業務ではないと判断される職種は対象外になりやすい傾向があります。
パート・アルバイトでも実務経験になる?
雇用形態がパート・アルバイトであることを理由に、一律で対象外になるわけではありません。「パートなら何年」「正社員なら何年」という単純な話ではなく、従業期間1,095日以上・従事日数540日以上という要件を満たしているかどうかで判断されます。勤務日数が少ない働き方の場合、必要な従事日数に達するまでの期間が長くなる点には注意してください。
介護福祉士の資格取得に必要な実務者研修
実務経験ルートを考えている方の多くが気になるのが、「実務者研修とは何か」という点です。ここでは、実務者研修の内容・受講タイミング・費用について整理します。

実務者研修とは?
実務者研修は、介護福祉士国家試験の実務経験ルートで受験資格を得るために必要な研修です。医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養等)を含む、実践的な知識・技術を学ぶ研修として位置づけられています。
実務者研修はいつ受ける?
実務者研修をいつまでに修了すればよいかは、受験する回の申込時期によって扱いが変わります。年度によって申込期間や必要書類が変わるため、特定の日付をうのみにせず、受験する回の公式案内(受験の手引き等)で最新情報を確認してください。
実務者研修の費用はどのくらい?
実務者研修の受講費用は、保有資格による免除時間や、通学・通信の組み合わせ方、スクール(研修実施機関)によって幅があり、目安としておよそ10万円〜25万円程度とされています。介護職員初任者研修を修了している場合は130時間分の科目が免除されるため、その分費用が抑えられる傾向があります。具体的な金額は受講先によって異なるため、固定金額として断定はできません。各スクールの最新の募集要項で確認してください。
働きながら実務者研修を受けられる?
実務者研修は、働きながら受講することを前提に、通信と通学(スクーリング)を組み合わせた形式で提供されているスクールが多くあります。仕事のシフトに合わせてスクーリングの日程を選べるスクールもあるため、働きながらの受講自体は珍しくありません。自分の受験資格の状況について、より詳しく確認したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
介護福祉士の受験資格|実務経験・実務者研修・資格取得ルートを解説
carejoblink.com
介護福祉士国家試験を受験する
実務経験・実務者研修の条件を満たしたら、いよいよ国家試験の受験です。ここでは、試験の内容・日程・申込に必要なものを確認します。
介護福祉士国家試験の試験内容
介護福祉士国家試験の筆記試験は、「人間と社会」「介護」「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」の4領域・12科目に総合問題1科目を加えた13科目から、125問がマークシート方式で出題されます。合格基準は、総得点の60%程度を基準とした点数以上を得点し、かつ11の試験科目群すべてで得点することです。
介護福祉士国家試験はいつ?
試験日・申込期間は年度によって変わります。古い年度の日付を恒久的な情報として覚えないでください。現在実施が予定されている第39回試験は、受験申込が2026年9月2日で終了しており、試験日は2027年1月31日です。次回以降の日程は、試験センターの最新の公式案内で確認してください。
受験申し込みには何が必要?
受験資格を満たしていることに加えて、実務経験ルートの場合は「実務経験証明書」、養成施設ルート等の場合は卒業証明書など、ルートごとに必要な書類があります。書類の発行には日数がかかることもあるため、申込時期の前から準備しておくと安心です。
介護福祉士国家試験の勉強方法
受験資格を満たし、申込の準備が整ったら、次は試験対策です。受験資格を満たしていることと、実際に合格できることは別の問題のため、ここから勉強の進め方を確認していきます。

介護福祉士の勉強は何から始める?
いきなり大量の問題を解き始めるのではなく、まず13科目・4領域の試験範囲を確認し、自分の理解度を把握してから学習計画を立てることが基本です。得意科目だけに時間を使いすぎると、苦手な試験科目群の学習が不足する可能性があるため、範囲全体を一度は確認しておきましょう。
介護福祉士の過去問を使った勉強方法
過去問は、点数を確認するだけの教材にせず、自分がどこを理解できていないかを把握するための教材として使ってください。解く→答え合わせ→解説を読む→間違えた理由を確認する→もう一度解く、という流れで繰り返すことで、知識が定着しやすくなります。
働きながら介護福祉士を勉強する方法
仕事と勉強を両立する場合は、まとまった時間だけに頼らず、出勤前・通勤時間・休憩時間・帰宅後・休日など、生活の中にある時間を組み合わせて学習時間を作るのが基本です。より具体的な勉強の進め方、過去問の使い方、独学と通信講座の比較については、以下の記事で詳しく解説しています。
介護福祉士の勉強方法|働きながら合格を目指す勉強法・過去問の使い方を解説
carejoblink.com
介護福祉士の資格取得にかかる費用
「介護福祉士を取るにはいくら必要か」は、実務経験ルートで資格取得を検討する際に気になるポイントです。ここでは、発生しやすい費用の項目を整理します。
国家試験の受験手数料
介護福祉士国家試験の受験手数料は18,380円です(2021年度の試験より、15,300円から改定)。今後の年度で変更される可能性もあるため、受験する回の公式案内で最新の金額を確認してください。
実務者研修の費用
前述のとおり、実務者研修の受講費用はおおよそ10万円〜25万円程度が目安とされています。保有資格による免除時間や、受講先によって金額に幅があるため、固定金額として断定はできません。
教材・勉強にかかる費用
独学の場合は市販のテキスト・過去問集の購入費用、通信講座を利用する場合は講座の受講費用がかかります。通信講座の費用・内容の比較は、勉強方法の記事で詳しく紹介しています。
資格登録にかかる費用
国家試験に合格した後の資格登録には、登録免許税(収入印紙)9,000円と、登録手数料3,320円、あわせて12,320円が必要です。登録免許税は収入印紙を購入して申請書に添付し、登録手数料は試験センター所定の払込用紙で支払います。
介護福祉士を取るメリット
資格取得を検討している方に向けて、資格を取った後にどう活かせるのかを整理します。取得までの過程だけでなく、取得後の変化もあわせて確認しておきましょう。
介護の専門知識を体系的に学べる
実務者研修や国家試験の勉強を通して、これまで現場の経験だけで身につけてきた知識を、制度・医療的ケアも含めて体系的に整理し直す機会になります。自己流で覚えていた対応の根拠を、あらためて確認できる点もメリットです。
資格を条件とする求人を探せる
介護福祉士資格を応募条件とする求人があり、資格を取得することで応募できる求人の幅が広がります。無資格・初任者研修のみでは応募できなかった求人にも、選択肢が広がります。
資格手当の対象となる求人もある
介護福祉士の資格手当を設定している事業所もあります。ただし、手当の金額は事業所によって差が大きいため、資格取得後は求人票や面接で実際の手当額を確認することをおすすめします。
転職時の資格条件を確認しやすくなる
介護福祉士資格を持っていることで、転職活動の際に応募条件を満たしているかどうかで悩む場面が減ります。「資格を取れば必ず給料が上がる」「転職が必ず有利になる」というものではありません。あくまで選択肢が広がる、という位置づけで考えてください。
未経験から介護福祉士の資格を取るには?
「介護福祉士 資格 取り方」とあわせて検索されやすいのが、「未経験からでも目指せるか」という疑問です。ここでは、未経験から資格取得までの道筋を整理します。

未経験で介護職に就く
介護職は、無資格・未経験からでも採用している求人が多くあります。まずは介護職として働き始めることが、実務経験ルートの出発点になります。
働きながら実務経験を積む
介護職として働きながら、従業期間1,095日以上・従事日数540日以上の実務経験を積んでいきます。すぐに資格が取れるわけではなく、一定の年数がかかることは前提として考えておく必要があります。
実務者研修を受ける
実務経験と並行して、または実務経験を積んだ後に、実務者研修を修了します。働きながら受講できるスクールも多くあります。
国家試験に向けて勉強する
実務経験・実務者研修の条件を満たしたら、国家試験に向けた勉強に取り組みます。未経験だからといって「今すぐ資格を取る」ことはできません。ここまで紹介した流れを一つずつ進めていくことが、結果的に一番の近道になります。
介護福祉士の資格の取り方に関するよくある質問
ここでは、「介護福祉士 資格 取り方」に関連して検索されやすい疑問を、簡潔にまとめます。個別の条件によって判断が分かれるものが多いため、最終確認先もあわせて紹介します。
介護福祉士は何年で取れますか?
ルートによって異なるため、一律の年数は示せません。実務経験ルートの場合、実務経験(従業期間1,095日以上・従事日数540日以上)に加えて、実務者研修の受講期間、国家試験の受験・合格発表までの期間がかかります。
介護福祉士は実務経験だけで取れますか?
実務経験だけでは取得できません。平成28年度(第29回)試験以降、実務経験ルートでは実務経験の年数・日数の要件に加えて、実務者研修の修了が必須になっています。
介護福祉士を取るには実務者研修が必要ですか?
実務経験ルートで受験する場合は必須です。養成施設ルートや福祉系高校ルートなど、実務者研修を前提としないルートもあるため、自分がどのルートに該当するかによって扱いが異なります。
無資格・未経験から介護福祉士になれますか?
無資格・未経験からでも、介護職として働きながら実務経験を積み、実務者研修を修了することで、実務経験ルートの受験資格を得ることができます。資格取得までに一定の年数がかかることは前提として考えておく必要があります。
介護福祉士の資格取得にかかる費用はいくらですか?
実務者研修の費用(目安10万円〜25万円程度)、国家試験の受験手数料(18,380円)、資格登録の費用(12,320円)などが発生します。実務者研修の費用は受講先によって差があるため、具体的な金額は各スクールで確認してください。
介護福祉士は独学で取得できますか?
受験資格を満たしたうえでの話にはなりますが、国家試験の対策は独学でも可能です。学習計画を自分で立てるのが苦にならない方は独学、学習範囲や進め方を整理したい方、講義や質問サポートを利用したい方には通信講座という選択肢もあります。
介護福祉士の資格の取り方まとめ
介護福祉士の資格の取り方について、実務経験ルートを中心に整理してきました。基本的な流れは、次のとおりです。全体像がつかめたら、次は個別のステップを詳しく確認していきましょう。
- 介護職として働く
- 実務経験の条件(従業期間1,095日以上・従事日数540日以上)を確認する
- 実務者研修を修了する
- 介護福祉士国家試験を受験する
- 合格後、資格登録の手続きを行う
自分の受験資格をより詳しく確認したい方、試験の勉強方法を具体的に知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
介護福祉士の受験資格|実務経験・実務者研修・資格取得ルートを解説
carejoblink.com
介護福祉士の勉強方法|働きながら合格を目指す勉強法・過去問の使い方を解説
carejoblink.com
- 執筆者
-
神野司(かみの つかさ)
大阪で訪問介護事業所を13年間経営。2018〜2022年は東京の高齢者デイサービス代表も兼任し、大阪・東京両方で採用面接を50例以上経験。
詳しいプロフィールはこちら
※当サイトでは、商品・サービスの紹介にアフィリエイト広告を利用しています。
